月別アーカイブ: 2013年1月

アシュタンギのためのアレクサンダーテクニーク第3回・レポート

1/12に開催したトシくん先生による「アシュタンギのためのアレクサンダーテクニーク」第三弾。沢山の気づきと発見に満ちた今回のWSも、大好評のうちに終了しました。前回の年末マイソールに引き続き、今回トシくん先生がレポートを書いてくださいましたので、ここにご紹介します!

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アシュタンギのためのアレクサンダーテクニークWSレポート
by アラマキトシヒロ

皆さま、こんにちは。今回は先週行われた、アシュタンガヨガにアレクサンダーテクニークを応用するWSのレポートをお届けさせていただきます。

前週まで年末年始のお休みが続いていた方も多く、まだお正月気分も抜き切れないまま始まった1月の三連休。本来なら家でダラダラ過ごしたい連休初日にも関わらず、今回のワークショップには、9人の素敵なアシュタンギ(アシュタンガヨガの練習生)にご参加いただきました。

昨年の秋から始まったこのワークショップも、おかげさまで今回で3回目です。なかには3回すべてに参加してくださっている方もいらして、ヨガ業界ではまだあまり知られていないアレクサンダーテクニークを紹介させていただく者として、そんな参加者さんの熱心さは、本当に嬉しい限りです。

当日は、ワークショップ主催のユミコさん(エイトヨガ)と軽く打ち合わせをした後、周辺の海岸や山を散策。自然から供給されるパワーは凄まじく、その中にこそ僕らがテクニークで体現しようとしている本来生物に備わった『生命力』のようなものを感じながら、ワークショップ直前とは思えないほど、気分はかなりリラックスモードでした。その後2時間に及ぶスピリチュアルツアー(笑)を終え、一部の参加者さんたちと合流し、いざ会場へ・・・歩くこと約15分、すでに会場に到着していた方々と共に、早速ワークショップの始まりです!

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今回のWSでは、アレクサンダーテクニーク(以下AT)の理論面よりも、参加者さん一人ひとりにアーサナ(ヨガのポーズ)を実際に行ってもらい、そこへATを応用することに多くの時間を割こうと決めていました。これは今回の参加者の殆どが、すでに何かしらの形でATの経験者だったこともありますが、今までの自身のワークショップの反省も踏まえた結果でもあります。

過去2回のワークショップでは、参加者さんにATの理論を知っていただくことと、ATによって頭が脊椎の上でバランス良く乗っている状態を体験していただくことに時間を割きすぎて、アーサナへATを応用する時間が十分に確保できなかった、という面がありました。もちろん理論や体験として、ATを理解することはとても大切ですし、むしろATを応用するうえで、それは不可欠と言っても過言ではありません。

さまざまな分野に基礎というものがあるように、前述した『ATで起こる頭が脊椎の上でバランス良く乗っている状態』というのは、ATにおける基礎の部分です。そしてATでは、本人の応用したい分野がなんであれ、それを叶える手段の一つとして、このATの基礎に最も焦点をあてます。そういった意味からも、ATの基礎を押さえるために理論やATセッション中心の進行は、まったくの的外れではなかったと思います。

たしかにワークショップにおける学びという意味では、理論的なことも、もっと分野に即した実践的なことも、どちらも捨てがたい大切な要素です。しかし最終的には、どのような分野であれ、ATを応用する目的は、その分野にATを『役立てる』ということのはずです。そこで今回は、あくまでも「アシュタンギのためのワークショップ」である、という部分に焦点をあてました。ATがいかにアシュタンガヨガに役立てられるのか・・・といった肝の部分です。

そのためには、アシュタンギにとって本来の実践であるアーサナプラクティスという生の現場で、ワークショップを進行する必要があるのでは?そんな思いから、今回は僕自身の講師としての実験も兼ね、ほとんどすべての時間をアーサナに応用するという試みを実行しました。

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さて実際のワークショップでは、参加者の方があまり意識しすぎて固くならないよう、まずは準備運動と称して自由にアーサナの練習をしてもらいました。そして、そこから特にワークショップの始まりを告げることなく、サポートの必要そうな生徒さんにAT的な意図をもって触れていきました。理論はなしです(笑)
前回のレポートでも書いたように、自身を含む殆どのヨガ練習生には、アーサナのなかに各々の習慣的な不必要なキンチョウが含まれています。僕はまだ正式なATの教師資格は持ってはいませんが、AT教師養成コースでの訓練や、普段のアシュタンガヨガの練習にATの応用を試みることで、自身にも他人にもそのようなキンチョウが存在することに、随分はっきりと気づけるようになってきました。

その不必要なキンチョウというものは、単調な前屈や後屈のポーズや、太陽礼拝のなかの動作や流れのなかに、はたまたシャバーサナにまでに及びますが、ただ本人にとっては、例えそれが不必要なものであれ、慢性的な習慣として行われているがゆえに、自分では気づきにくいものです。そのため、こういった「不必要なキンチョウを止める」という選択肢は、なかなかそこからは生まれてこないのです。

ですから、AT的な観点にせよ、ヨガ的な観点にせよ、生徒さんに触れるサポート(アジャスト)させていただくということは、『ここの力もっと抜いたらいかがですか?』と気づきを促すことであり、さらに『もしかしたらもっとこっちにも行けるかもよ』と、生徒さんを習慣的でない新しい方向に招待することだと、僕は考えています。

このような意図のもと、今回も参加された皆さんひとりひとりにサポートさせていただきました。それぞれが準備運動と称された(笑)アーサナ練習に始まり、その後も途中、質問などを挿みながら、さまざまアーサナに注意深くATを応用する練習に取り組んでいただきました。今回はアーサナに直接的に応用することに多くの時間を割いたため、参加者全員と十分なワークができたのではないかと思います。

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こちらは、ワークショップ終了後に、生徒さんからいただいた感想文の一部です。

『ATを取り入れることで、今までの無駄な力や動きを自分自身の体を通して感じ取ることが出来ました。例えば、私にとってダウンドックは違和感を感じるアーサナで、いつも意識的に試行錯誤して練習していました。ATを取り入れた時、四本の手足にバランス良く力が入り、その上に胴体が安定して乗っている、とても心地の良い感覚でした。
~中略~ 今までのダウンドックには無駄な力や動きがあることに気づきました。ATをヨガに取り入れることで、アサナと呼吸は深まり心地よさを感じました。自分自身では、習慣やクセ、無駄な動きや、りきみを、気づくのはとても難しいです。しかし、ATを練習に取り入れることで、体がより効率的で機能的に動き、体に負担のない、より質の良い練習に繋がる気がします。』

この生徒さんに起きたATの恩恵について、とてもよく物語ってくれています。そして僕自身、この生徒さんだけでなく、他の参加者さんたちの中にも、より効率的で機能的な変化をつぶさに観察することができました。

『アーサナはヨガのツールのひとつに過ぎず、見た目や、出来る出来ないは、すべてではない』と、よく言われますが、僕もそう思います。いえ、正確に言うと、ついそこに囚われがちなため、そのように考えようと努力しています。しかし先ほどの生徒さんのように、本人の無駄な力や動きが察知できるような気づきを与えることでアーサナや呼吸が深まる、というのは非常に興味深いことです。ちなみにこの方のダウンドックが変化した時、僕には見た目において安定感が増し、いわゆる『キレイ』な状態になったように見えました。これは何を意味するのでしょう?ワクワクするような今後の探求のしどころですね!

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今回もあっという間に時間は過ぎ、ワークショップも無事終了を迎えました。毎回のことながらWSは一時間近く延長され(参加者の皆さん、いつもすみません)、あたりはほぼ真っ暗に。最後に、Hさんお手製のめちゃくちゃおいしいお菓子を皆でいただき、会場を後にしました。Hさん、素敵なお菓子をどうもありがとうございました!

そして参加者の皆さま、今回も自分の学びを、このようにシェアさせていただく機会をもたせていただいて本当に嬉しく思います。ご参加いただき、どうもありがとうございました!今後もよろしくお願い致します。
アラマキトシヒロ

PS、この「アシュタンギのためのアレクサンダーテクニーク」ワークショップのシリーズも、いよいよ次回の26日を残すのみとなりました。まだ参加枠がありますので、興味のある方は是非一度お越しください。(問合せ・申込みはエイトヨガまで)
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アラマキトシヒロ先生による年末マイソールクラスレポート

12月30日&31日の2日間、鎌倉での年末マイソールクラスに特別参加してくださったトシくん先生による、アレクサンダーテクニーク的アプローチによるマイソールクラスのレポートです。トシくん先生ならではの、AT的な繊細かつ明晰な視点と気づきをシェアしていただきましたので、ぜひともご一読ください!

アレクサンダーテクニーク的アプローチによるマイソールクラス
by アラマキトシヒロ

去る12月30日、31日、年の瀬迫る古都鎌倉。

2012年を締めくくるこの2日間、いつもお世話になっている『エイトヨガ』主催のユミコさんの開催するマイソールクラスに、アレクサンダーテクニークティーチャー兼アシスタントとして参加させていただきました。

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マイソールクラスとは僕の実践するアシュタンガヨガの伝統的な自主練クラスのことを指し、先生やそのアシスタントは生徒の必要に応じて生徒の手助する、というスタイルのクラスです。

今回の僕の役割は、それぞれの生徒さんが自分のペースで練習をするなかでアレクサンダーテクニークを応用してもらい、心身にかかった余計なキンチョウを減らすことでポーズや呼吸にどのような影響が及ぶのかを、実際に体験していただくことでした。そしてそれが普段の練習にどのように活かしていけるのか、生徒さんと一緒に探求し、お互いに学んでいくことが、今回の目的でした。

会場である大町会館は、僕が約3年前に初めてアシュタンガヨガを教わった思い出の地でもあります。まさかそこに自分がこんなかたちで戻ってこられることになるとは・・・。素敵な機会を設けてくださったユミコさんに感謝です!

久しぶりの懐かしい道のりに迷いながらも無事到着すると、目の前にはthe町内会館というような雰囲気を漂わせた木造建築の味のある建物。きしむ階段を上がり、すでに練習を開始していたユミコさんに混じり、早速自分も練習を開始しました。畳の部屋での練習は、以前にここを訪れて以来久しぶりの体験です。いつもと違う感覚に戸惑いながらも無事に自分の練習を終えると、徐々に生徒さん達もみえ始め、僕にとって今年最後の大きな試みとなる、アレクサンダーテクニークのヨガポーズへの応用を、マイソールクラスという実践の場で体験していただくお手伝いの時間がやってきました。

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基本的に、生徒さんには普段とまったく同じ練習をしていただき、サポートを必要とする方に対して僕がアジャストをさせていただく、という普通のマイソールクラスと同様なかたちで生徒さんと関わっていくのですが、今回のクラスでは、必ずしも”出来ていない”、”安定していない”、またいわゆる”完成形ではない”ポーズに対してのみアジャストを行うのではない、という点が通常のクラスと大きく異なります。

これはアレクサンダーテクニーク(以下AT)の性質により、ひとつの行為を『どのように』行うかというところに鋭く着目していくためです。

一見サポートを必要としていないように見える完璧そうなポーズでも、そのポーズを行うのに不必要なキンチョウというのは、ATを学べば学ぶほど、自分自身についても他人に対しても、大抵において見えてきます。

たとえばパシュチモッタナーサナ。

このアーサナは長座で前屈するという、ポーズとしてはごく単純なものです。「果たして”余計なキンチョウ”などありえるのだろうか?」なんて声が聞こえてきそうですが、僕自身のATとヨガにおける実践と学びによると、パシュチモッタナーサナのような一見簡単なポーズでさえも、実は余計なキンチョウや不必要なキンチョウは充分起こりえるのです。

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よくシャバーサナ(死体のポーズ、仰向けで寝るポーズ)は難しい、なんて言いますよね?

部分的には、それと似てるのかもしれません。おそらくシャバーサナは、見た目でいうともっとも簡単なポーズで、誰もが仰向けで横になれます。ヨガの流派や指導者の方針などによって、理想とする完成形のポーズは違ってくるかもしれませんが、基本的にシャバアーサナにおいては誰もがいわゆる完成形です。では、このポーズが難しいという言葉の意図する意味は、一体なんなんでしょうか?

僕の現時点での解釈によれば、シャバーサナやパシュチモッタナーサナのような簡単なポーズにおいてでさえ、「不必要なキンチョウに気づいて、それをやめることは、とても難しい」、ということではないかと考えています。

すなわち一見完成形に見えるポーズでも、実は本人の気づかぬところで不必要なキンチョウとういうのは往々にして起こり、しかもそれは自分で気づきにくく、そのため止めていくのは至難の技であるということです。

ATでは、この不必要なキンチョウを止めてもらう・気づいてもらう、という作業を繊細に繊細に行っていきます。それによってキンチョウから解放された結果、ポーズや呼吸が楽になったり、柔軟性が増し、これらの変化によって、アシュタンガヨガにかかせないヴィンヤサにも大きな影響を与えることとなります。

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今回の2日間マイソールでは、両日ともに10人前後もの生徒さん達にお集まりいただき、まだ始めたばかりの方、週末だけヨガを実践する方、中には僕の数倍も長く練習を継続されている方など、幅の広い方々に対して、果たして僕が提供できることがあるのだろうか?、と不安な気持ちもありつつ(笑)のスタートでしたが、始まってしまえば後は今までの学びを生徒さんと共有することに集中するのみです。

まだまだ短い期間ながらも自分の毎朝の練習、ATにおける学び、また昨年から行っているWS【アシュタンギのためのアレクサンダーテクニーク】で感じた確かな手ごたえを信じて、AT的アジャストを生徒さん全員に行わせていただきました。

ATでは主に頭(頭蓋骨)と脊椎(背骨)の関係性(頭蓋骨が背骨にどのような状態で乗っているのか、バランスをとっているのか)に着目し、教師はその関係性における自由さにアプローチしていきます。ですから教師は首筋や頭の辺りに手を置くことから始めることが多く、一般的なヨガにおけるアジャストとは見た目からして随分異なっていることと思います。

生徒さんもおそらく初めてのアジャストに少々戸惑いを感じたかもしれませんが、それ以上にその結果として起こる楽さ、呼吸や柔軟性の変化具合、さらには全体的なポーズの深まり具合にところどころ驚かれている様子でした。

また不必要なキンチョウというのは、自分の体に対する”解剖学的に間違った認識”によっても起こるため、生徒さんに”解剖学的な事実”を知っていただくことで、さらに不必要なキンチョウを手放せたのではないかと感じました。

そして嬉しかったのは、昨年のWSから継続して参加してくださっていた方が、以前見た時よりもさらにキンチョウを手放し、注意深いプロセスを経てポーズをとられていたことです。

そこにはポーズとしての深まり具合はもちろん、まるですべての気づきに通じるナニかを、そのポーズにいたるプロセスの中で具現化しているようにさえ感じさせてくれました。そのプロセス自体に、ヨガというツールにおける自己探求の現場を垣間見たように思います。

真剣に取組んでくれた、今回参加してくださった皆様。本当にどうもありがとうございました!

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無事に二日間クラスも終えることができ、2012年も残すところあとわずかな最後の最後で、このようなクラスをもたせていただいたのは本当にラッキーなことでした。

僕が今回学んだことは、なにより改めてATはヨガに本当に役にたつんだな、と自分以外の誰か、生徒さんを通じて確信できたことです。

今年(2013年)は昨年のこの確信をより多くのアシュタンギ、それ以外の流派のヨギーと共有し、多くの人にこの実用的なテクニックを紹介していきたいと思います。

本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

アラマキトシヒロ