冬の寒さと春の予感が行き来するような、分刻みで変わってゆく空模様が印象的な2月の終わり、海と山と土と風をうんと身近に感じる秋谷ヨガハウスで、ドミニク先生のワークショップを開催しました。
今回のワークショップは、地元の練習生のほかにも、日本各地から来てくださった方々や、ドミニク先生の東京の生徒さん達が大勢集まり、新鮮な空気に満ちていました。
ドミニク先生は、30年以上も前から故パタビ・ジョイスのもとでアシュタンガヨガを学び、グルジ・ファミリーとも深い親交を持ち、現在は北アメリカを拠点に、アメリカ国内、ヨーロッパ、アジアなどで指導を続けている、オールドスクールのシニア・ティーチャーのひとりです。
その経歴を聞くと「とてつもなくエライ先生か、世捨て人のようなヨギー」といった先入観を持ってしまいますが、実際はとても気さくで人間味に溢れた、親しみやすい人生の先輩、といった感じ。
実際今回のワークショップでは、初めてマイソールデビューをしたビギナーさん達が、臆することなく、楽しく伸び伸びと練習している姿を見て、誰もが等しく自信と勇気を持って練習ができる「場」をホールドする力に、ドミニク先生の素晴らしさを垣間見ました。
そんな素敵な先生と、この場に惹かれて集まった方々が過ごす2日間のワークショップ、楽しくないはずがありません!
ワークショップやレクチャーの内容は、その場に実際にいらした方々が、個々に受け止め感じるパーソナルなものですので、詳細は割愛しますが、そこには一貫して「誠実さ」が溢れていたような気がします。
先生の誠実さ、参加されたみなさんの誠実さ。
自身に対して、他者や世界に対して、誠実であるということは、とても難しいです。そうであるためには、否定したい弱さや愚かさを受け入れる勇気が必要だし、そこにはいつも「恐れ」があって、私たちは簡単に体良く卒なく誤魔化す術に長けてしまってるのですから。
けれど気がついたら、自然とそんな勇気が私たちの中に芽生えていて、非常にオープンな心で、新たな気づきや発見と出会っていたみたいです。
そうなんです、このワークショップの期間中、沢山の方々が「気付き」や「発見」、そして「本質」という言葉を使われていました。だけど、「気づき」や「発見」というのは、決してドミニク先生が「はいコレどうぞ!」と与えてくれるものではなく、私たち一人一人が歩んでいる道程の中で、自分の中に見つけていくんですよね。
たとえばドミニク先生が口にしたとあるひとつの言葉が、ある人には謙虚さを促し、別の方には勇気を与える・・・というように、そこにいらした人の数だけ様々な学びがあって、それはドミニク先生が「どんな言葉を話したか」ではなく、私達がその場でどのように受け止めたのか、が大切なんだと思います。
たぶん私たちはみな、必要とするものを自身の中に持ちながら、その扉を開くキッカケを待っているに過ぎないのかもしれません。そしてドミニク先生は、そんなキッカケを促す媒体役として、迷える子羊ちゃんな私達生徒が、しっかりと歩いていけるよう、この道程に光を灯してくれたような気がします。
押しつけがましい一方的な教えではなく、静かで大きな力で私達を見守るように支えてくれたドミニク先生の根底にあるのは、限りない「生徒への信頼」なのではないかな、と感じました。生徒の内に光を信じるからこそ、先生の語る言葉ひとつひとつが、見守るまなざしの暖かさが、私達の心に深く響いたのかもしれません。
いらしてくださったみなさま、ドミニク先生、ヒデキさん、カナちゃん、ヒロミさん、そしてジュンさん、ありがとうございました。みなさんひとりひとりの存在が、かけがえのない時と空間を生み出してくださいました。すべてのハプニングとミラクルに感謝です!